全ての人に彩り豊かな人生を送ってほしい。
「全ての人に彩り豊かな人生をおくってほしい」そんな願いを込めて、2017年1月、高千穂町のメイン通りに障害者就労継続支援多機能事業所A型・B型多機能事業所「にじいろ」をオープンさせた。
父への想い
施設長 田尻 哲朗の父・俊美は元システムエンジニア。パソコンが普及し始めた約30年前、ほぼ不眠不休で働いていた。仕事にやりがいを感じ、楽しんで働いていた父だったが、あまりの激務に精神的にも疲弊していき、徐々に左耳の聴覚失っていった。
2005年に大きく体調を崩し、会社を早期退職して妻・陽子の実家がある宮崎県高千穂町に家族全員で引越し。その後、陽子の実家のお寺で少しでも役に立てないかと考え、俊美と陽子は僧侶の資格を取得。少しずつ回復に向かっていた頃、指定難病の「神経線維腫症」で左右両聴覚神経に腫瘍ができているとわかった。12時間にも及ぶ手術を何度も乗り越えたものの、両耳とも聴力はほぼなくなってしまった。病気と闘いながらも、仕事を探すことを試みたが、なかなか上手くいかず、家で一日中寝ていたり、友人との集まりを断ったりとふさぎこむようになった。そんな姿をみた哲朗は、父親に以前のように活き活きと働いて、生活してほしいと思うようになった。
まず動いたのは、父のように障がいのある人が働ける環境作り。母・陽子とともに開発した「おひさまチーズまんじゅう」をメインとした菓子店“菓子工房そらいろ“を立ち上げ、安定した売上をあげることで、仕事を作った。父・俊美は会社員時代の経験を活かし、経理や事務を担当することになった。
ついに開設
菓子工房の運営をしながら資金集めに力を入れた。菓子工房も起動に乗り始めた、2017年1月、高千穂町のメイン通りに西臼杵初となる、障害者就労継続支援A型・B型多機能事業所「にじいろ」をついに開設。“菓子工房そらいろ“での施設外就労をメインに仕事を始め、少しずつ地域の企業さんからも仕事の依頼が来るようになり、現在は菓子製造以外にも、果実加工、お茶の袋詰め、農作業、など仕事の幅を広げている。現在は10名の支援員と共に、1人1人に合った仕事、得意なことを伸ばしていきながら、苦手なことにも楽しんでチャレンジできる環境づくりを目指し、日々奮闘している。
カフェも併設し、あえて高千穂のメインストリートにオープンさせた
町の人に、障がいがある人を身近に感じてもらい社会の理解を促したいという想い、障がいのある人に、社会との接点を少しでも持ってもらい、自立を促したいという想いを込めて、あえて高千穂のメインストリートに施設を構え、障がいのある人もない人も共に過ごせる環境を作った。
父に自信を取り戻してほしい。その願いから立ち上がったNPO法人 彩り「にじいろ」。現在はA型4名、B型9名、支援員10名の働く場となっており、それぞれの形で彩り豊かな生活を送ってほしいと願っている。